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現在の世界経済の年間総生産は、約70兆ドル(約6860兆円)ある(IMFの2012年予測値=71兆2774億ドル)。

この世界の総生産の約4分の1がタックスヘイブンに吸収されると推測されています。

つまり約17.8兆ドル(約1744兆円)である。これは流入する数字でありますが、もちろんここからは流出もしています。

タックスヘイブンに存在する預金の総額がどのくらいかといえば、約32兆ドル(3136兆円)。

このうち、個人の富裕層がタックスヘイブンに所有している資産は約15兆ドル(約1470兆円)で、これはアメリカのGDPに匹敵するというから驚き。

32兆ドルから15兆ドルを引いた残りの約17兆ドル(約1666兆円)は、企業組織、団体の資産と考えられます。

タックスヘイブンに存在する資金が、すべてアングラマネーであり、ダーティーマネーであるというわけではありません。

合法的な節税の結果、タックスヘイブンに存在する資金も大量に存在します。

アメリカの大企業がタックスヘイブンを使って、どのように大胆な節税をしているかを見ていきましょう。

大企業が用いる典型的な節税策に「ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ」と呼ばれるものがあります。

なにか美味しそうな名前だが、これはサンドイッチの種類ではなく、巧妙な節税スキームのことなんです。

この節税スキームは、1980年代後半にアップルが開発したもので、

今や、フェイスブック、アマゾン、グーグルなどのIT企業が軒並みこの節税策を利用しています。

アイルランドにおける2つの子会社を利用し、この子会社間の取引にオランダの子会社を挟むスキームなので、

「ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ」と呼ばれています。

グーグル社の場合、過去3年の間にこの節税策によって、31億ドルの節税を行っています。

同社の利益から法人税を払った比率は、たったの2.4%に過ぎません。

ちなみにアメリカの法人税率は35%、グーグル社にとって2番目に大きい市場であるイギリスの法人税率は28%ですから。

具体的にグーグル社の例を引いて、この節税法を説明してみましょう。

①アメリカのグーグル本社は、アイルランドのグーグル・アイランド・ホールディングスに海外でのビジネスライセンスを供与します。

②グーグル・アイランド・ホールディングスは、当然、ライセンス使用料をアメリカ本社に支払います。

③ところが、グーグル・アイランド・ホールディングスは、タックスヘイブンである英領バミューダー諸島で登記されている会社が管理しています。このため、アイルランドでの法人税はゼロである。英領バミューダー諸島は、モナコなどと同様、完全無税のタックスヘイブンだということ。

④グーグル・アイルランド・ホールディングスは、同じアイルランドに存在する存在する子会社グーグル・アイルランド・リミテッドにサブライセンスを供与します。アメリカ国外のすべての事業の収入はこのグーグル・アイルランド・リミテッドに集まる仕組みになっています。

⑤グーグル・アイルランド・リミテッドは、オランダのグーグル・ネザーランズ・ホールディングスBVにライセンス料を支払います。このオランダのグーグル・ネザーランズ・ホールディングスBVが、グーグル・アイルランド・ホールディングスにライセンス料を支払います。

⑥なぜグーグル・アイルランド・リミテッドは、グーグル・アイルランド・ホールディングスに直接、ライセンス料を支払わないのでしょうか。それは、アイルランドからオランダに対するライセンス料の支払いには、源泉税が徴収されないから。アイルランド=オランダ間では、ライセンス使用料を含むロイヤルティー(特許権使用料)の支払いには源泉税がかかりません。ロイヤルティーの非課税が、租税条約によって決まっているのです。

⑦グーグル・アイルランド・ホールディングスは、アメリカのグーグル本社にライセンス料を支払います。しかしこの額が巨大になってしまっては、グーグル本社がアメリカで高い税率を課税されることになるので意味がありません。そこで、グーグルの海外事業の利益の多くの部分は、アイルランドにあるグーグル・アイルランド・ホールディングスに蓄積されることになります。しかも、この会社の管理会社は、英領バミューダー諸島に存在していて、すでに述べたように、英領バミューダー諸島は、完全に無税のタックスヘイブンなんです。

こういった完全に合法的ではありますが、ほとんど脱税と言ってもよいレベルの節税スキームが、

さまざまな社会問題を生み出しているのもまた、事実でしょう。

先進国各国は、いずれも財政赤字に悩まされているが、その原因の1つが、こういった多国籍大企業が大胆に行っている節税なのです。

一国を代表し、稼ぎ頭であるハイテク大企業が、本国でほとんど税金を支払わないのであるから、国家の税収は落ち込まざるを得ません。

アメリカは、単年度で1兆4000億ドルの赤字を抱え、EU全体では、単年度で8680億ユーロの財政赤字に苦しんでいます。

こういった状況下において、ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチのような節税策が、

現在のところ合法的ではあっても、国民に容認されるかどうかはまた、別問題でしょう。

グーグルも、アマゾン、アップル、フェイスブック、マイクロソフトも、皆、アメリカの社会インフラを利用して成立している企業だといえます。

社会インフラの中にはもちろん公教育も含まれていて、

そういった大企業が、社会インフラを支えるのに必要な税金を払わないでいることには、大きな倫理的な問題となっています。

こういった節税法が、いつまでも合法的であり続けるかどうかは定かではありません。

アメリカではFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が施行されることにより、個人の海外タックスヘイブンを使った税金逃れは不可能になりました。

いかに多国籍企業の政治的影響力が巨大であるとはいえ上記のような節税スキームは、

近い将来非合法化される見通しで、アイルランド政府は改善を約束しています。

今まで述べたような手段で企業がタックスヘイブンに蓄積している利益は、どのように使われるのでしょうか。

もちろん企業がM&Aや研究開発(R&D)のために支出することもあります。

しかし、この利益を株主に配当するために本国に持ち帰ってしまえば、そのときは課税されることになってしまいます。

タックスヘイブンに蓄積された利益は、

本来、法人税として納めるべき利益をオフショアに置いている間だけ、繰り延べして支払っていない税金とも見なされます。

このことを「税金繰り延べ(deferral)」と呼んでいるのですが、

繰り延べされた税金は莫大な額になり、多国籍企業の資本調達コストを大幅に低下させられます。

そのため、こういった仕組みを利用できない国内の中小企業に対して、大企業は著しく有利な立場に立つことができます。

2009年に、アメリカ系多国籍企業はこのような形でのこのような形の資金1兆ドルを、タックスヘイブンに蓄積していたとも推定されています。

ところが、このタックスヘイブンの非課税マネーを本国に持ち帰れるチャンスが時に訪れます。

たとえば2004年、米ブッシュ・ジュニア政権は、

オフショアに蓄積した利益を本国に送還した場合、通常の法人税率35%を大幅に引き下げ、たった5%とする優遇措置を実施しました。

このため、3600億ドル(35兆2800億円)の巨大な資金がアメリカに戻ってきた。

これらの利益は自社株買いや株主配当や、経営幹部の巨額ボーナスに支出されたのはもちろん、

将来に向けての研究開発や企業体質強化のためのM&Aにも使われました。

しかし残念ながら、これが大きな雇用の増大に結びついたかどうかは定かではありません。

なぜブッシュ政権が35%の税率を5%に引き下げるという大サービスを企業に対して行ったのでしょうか。

これにはそれなりの理由があります。

ブッシュ政権は、対テロ戦争の一環として、テロ資金を根絶やしにするために、

アングラマネーやタックスヘイブンの取り締まりに本格的に乗り出していました。

そのため、「今後の規制は厳しくするが、今まで合法的に節税して海外に蓄積してきた資金に関しては、

一度だけ大目に見るので、本国に資金を送還するように」とビジネス界に働きかけたのです。

これはなかなか粋な取り計らいであり、極めてプラグマティックな対応だったんじゃないでしょうか。

ブッシュ・ジュニア政権は、この海外利益の本国送還を「最後のチャンス」とする約束で優遇措置を行ったのですが、

その後も米大企業はダブルアイリッシュなどの移転価格操作をやめた様子はありません。

いずれまた、企業側の要請により、税制優遇措置によるタックスヘイブンからの利益の本国送還が可能になるかもしれません。

だとすれば、こういった例外措置は、単なる大企業への税制優遇以外の何物でもないということになってしまうこと。

こういう措置は日本を含め世界的に少なくありません、企業は企業ならではの節税、個人は個人ならではの節税、

イタチごっこではありますが、しないよりはマシでしょう。

 

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