記事の詳細
日本の富裕層は1年で130万人減少、減額580兆円

クレディ・スイスはこのたび、世界の富裕層の動向をまとめたレポート「グローバルウエルスレポート2013」を発表し、
資産100万ドル(約1億円)以上の富裕層は日本は米国に次いで2位の265万人だったのですが、前年の調査から130万人も減少しました。
ドルベースで集計しているために為替が影響していて、
特に日本は昨年後半から米ドルに対して円安が一気に進んだので、「富裕層」の数が大幅に減少しました。
キャップジェミニとRBCウエルスマネジメントにも同様のレポートがありますが、こちらは不動産は加えていません。
今回取り上げるクレディスイスのレポートは不動産が計算に含まれています。
世界全体では資産100万ドル以上は3168万人で、前年からは181万人増加しています。
日本は130万人減少して265万人となったのですが、世界で2位の座を保っています。
世界の富裕層人口の8.4%を占めていて、仏、独、英、伊などの欧州各国が以下に並んでいます。
◆富裕層ランキング(2013年人口、増減、単位:万人)
1 アメリカ 1321 168
2 日本 265 -130
3 フランス 221 28
4 ドイツ 173 22
5 イギリス 152 11
6 イタリア 144 12
7 中国 112 9
(主な富裕層減少国=ブラジル、ロシア、アルゼンチン、南アフリカ、エジプト)
日本は前年と比較して約3分の1もの富裕層が減少したのですが、
金額にして失われた富は5兆8350億ドル(約575兆円)にも達しています。
しかも、今年全世界で失われた資産総額の9割以上が日本人の資産でした。
いかに、円安の影響を色濃く受けているのかがおわかりいただけるでしょう。
将来的な為替の予測はわからないのですが、日本の富裕層の資産分布はギリギリ1億円に偏っていて、
円安の進行によってはさらに富裕層の数はさらに減少していくことになります。
ちなみに日本は資産100~500万ドルが約250万人に、ほとんどの富裕層が偏っています。
日本円にして資産5億円以上は限られていて、超富裕層の数では米、中、英、独、ロシアなどにはかないません。
ただし中間層が分厚いのは日本の特徴で、資産10万ドル以上は約5545万人で、全世界の14.1%を占めているほどです。
ただ、この層は為替やインフレで中間層からその下の層への転落もありうる潜在下流層でもあります。
◆10万ドル以上の人口と割合
アメリカ 8672万人 22.1%
日本 5545万人 14.1%
イタリア 2920万人 7.4%
フランス 2666万人 6.8%
イギリス 2566万人 6.5%
ドイツ 2528万人 6.4%
中国 2485万人 6.3%
カナダ 1318万人 3.4%
豪 1152万人 2.9%
また、金融資産とそれ以外の資産の割合の推移です。
金融資産を増えていますが、これは老人たちの手元資金が増えていて、
一方でそれ以外の資産は、特に不動産価格が一貫して下落していることで減少しているとも考えられます。
金融資産の内訳で見ても、流動資産の割合が高くなっていて、現預金が増えた可能性がわかります。
また、株式は2005、06年の約半分で、東日本大震災が発生した2011年は6.5%と最も割合が下がりました。
2013年の統計はまだ公表されていませんが、05、06年水準までは上がるのではないでしょうか。
◆全資産の内訳
金融資産 それ以外 負債
・2000 53.3% 46.7% 15.6%
・2013 59.4% 40.6% 13.9%
◆金融資産の内訳
流動資産 株式 その他金融資産
・2000 53.6% 10.9% 35.5%
・2012 55.3% 9.5% 35.2%
円安とインフレが進めば資産が大きく目減りすることが、今回の調査で再確認できたように思います。
日本から富裕層がいなくなるとは言わないまでも、アベノミクスが進むことは必ずしも良いことばかりではないということでしょう。
投資家サポートが必要な方はお問い合わせください。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。