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9月16日、OECDからBEPS(Base Erosion and Profit Shifting「税源侵食と利益移転」)プロジェクト第1段の報告書が公表されました。

多国籍企業の租税回避への対応として、G20の全面的な支持の下で各国が集まって検討を続けてきたもので、

オーストラリアで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議でオーソライズされました。

この中にはさまざまな勧告が行われていて、国内法や租税条約の改正が求められるものについては、各国で順次検討が開始されます。

日本でもすでに見直しが始まっている。

残された議題については、2015年中に議論し終え、最終的な報告書が公表されることになっています。

これまでスターバックス、グーグル、アップルなどの租税回避の問題を取り上げてきました。

租税回避というのは、違法な脱税でもない、合法的な節税でもない、

法には反しないが、通常用いられないような法形式を選択し、税負担を減少させる取引です。

日本の判例法では、法の趣旨・目的に反したタックス・スキームは、

「権利の濫用」にあたり税務上否認されています(「りそな銀行事件」最高裁平成17年12月19日判決)。

わが国企業は、意図的な租税回避行動からは縁遠いというのが一般的な認識でしたが、

税引き後利益率を改善させろという株主からのプレシャーもあって、最近のわが国企業の行動は変わりつつあります。

しかし、このような租税回避行為を放置すれば、税の公平性が疑われて、企業の公平な競争条件が損なわれ、税収が抜け落ちてゆきます。

米国では、「インバージョン」という取引に対して、ホワイトハウスや議会が警告を発するなどの厳しい対応を見せています。

米国アプライドマテリアルズと東京エレクトロン社の経営統合の親会社はオランダに置かれますが、

その狙いは税負担を軽減するインバージョン取引で、これにより年間1億ドル近い法人税が脱漏すると言われています。

日本企業もすでに税を念頭に置いた企業行動を行っている実例です、しかし日本の反応は鈍い。

そういう観点で報告書をみると、重要なことが書かれています。

それは、「無形資産に係る移転価格ルールの策定」。

今や企業価値の根源は、特許権・著作権・商標権・ノウハウなどの無形資産にあります。

そこで、無形資産を、低税率国・タックスヘイブンに作った子会社(これを一般的にIntellectual Property Company、IP Co.という)に、

税金のかからない形で移転することができれば、企業は、将来上がってくる収益(使用料、ロイヤルティー)を低税率・非課税でため込むことができます。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、「2011年に海外に50億ドル以上の資産を保有している米大手企業60社を対象に調査・分析したところ、これら企業は総額で1660億ドル(15兆9400億円)の資金を海外に留保させていることが分かった」という。

グーグルは、無形資産の使用料の支払いを通じて、英現地法人から、アイルランド(法人税率は12.5%)やバミューダ(法人税なし)の兄弟法人に利益を移転しているし、アマゾンやアップルも使用料を(多く)払うことによって利益を移転しています。

これは、米国の税制が、全世界課税という制度をとっていることから、本国に利益を持って帰ると相手国で払った税金に加えて、米国の税率との差額を納税する義務があることからきます。

日本はこの制度を数年前に改めており、事情は多少異なります。

しかし、低税率国に無形資産を移転できれば、将来にわたって税負担が低くなるという点において、日本企業も同じマインドにある。

問題は、無形資産は、企業の中で形成され、その価値が客観的に計測できないので、

将来にわたって価値を生み出す無形資産の価値をあらかじめ客観的に評価することはなかなか難しいということでしょう。

この価値があらかじめきちんと計測できれば、その使用料の支払い額が過大なものでないかどうか判断できます。

今回、OECDで、無形資産の定義や無形資産の価値の計算方法が先進国間で合意され、

これをもとに海外に持ち出された無形資産からの対価にきちんと税金をかけることが可能となりました。

幸い米国内でも租税回避に対する国民レベルでの関心が高まりつつあり、少しずつ対応が進みそうです。

OECDの報告書はその意味で時宜を得たものになりそう。

そもそも問題の発端は、スターバックスの租税回避にロンドンの市民が怒りを発したことでしょう。

日本でも、アマゾンは日本人を相手に幕張にある倉庫を通じて日本の商品をネットで販売しながら、

その莫大な利益に対して日本国政府に支払う法人税はほんの僅か。

それも税務調査で指摘され支払うこととなったんです。

 

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